科学部の活躍☆

「オオサンショウウオ」を研究している科学部は、高川生ならば誰もが知っていますが、今回、中学生の科学部員が素晴らしい発表を行いました。

「第28回全国水環境保全市町村連絡協議会全国大会 名水サミットin周南」
が周南市において開催されました。

水環境事例発表 において、J2-1鎌田啓佑君が発表しました。
以下は、その内容です。

テーマ「周南市に生息するオオサンショウウオ」

 みなさん、こんにちは。今から周南市に住むオオサンショウウオについての発表を始めます。
 まずオオサンショウウオについてです。学名は、「Andrias japonicus」といいます。別名は、ハンザキなどと呼ばれています。このハンザキという名前の由来は、体を半分に裂いても大丈夫や口が半分に裂けているように見えることからだと言われています。このオオサンショウウオは世界一大きい両生類です。また、3千万年もの昔から姿を変えずに生き続けた「生きた化石」です。危険を感じると体中から白くてねばねばした液を出します。この日本のオオサンショウウオは国の特別天然記念物です。オオサンショウウオは西日本の山系の水流に生息しています。この地図を見てください。この赤い丸の所がオオサンショウウオの生息地です。黄色い箇所が山口県です。また外国にはアメリカオオサンショウウオ、チュウゴクオオサンショウウオがいます。これが、オオサンショウウオの世界地図です。北アメリカ大陸にはアメリカオオサンショウウオという日本のオオサンショウウオとは学名の異なったオオサンショウウオがいます。このオオサンショウウオはヘルペンダーやオザークヘルペンダーとも呼ばれています。また、数が多いのでペット販売されています。また、ユーラシア大陸にはアンドリアス種属のオオサンショウウオが生息しています。ヨーロッパの石灰層からは化石として見つかっています。また、中国に生息しているチュウゴクオオサンショウウオは食材として日本にも入ってきています。これが、山口県の生息地です。ここが周南市で、周南市は錦川の上流に位置しています。これを辿っていくと岩国市を通って海へ流れでます。
 まずはじめに、錦川の支流である宇佐川についてと次に、人口巣穴について、最後に支流渋川について説明します。これがオオサンショウウオの調査の様子です。夜、ヘッドランプやサーチライトを持って川に入り、下流から蒸留に向かって歩いてオオサンショウウオを探します。そして、発見したオオサンショウウオは全長を測って、目と目の間の眼中心間距離を測ります。そして、体重の測定を行います。最後に、測定値の記録を行い、指の本数やけがなどを記録します。オオサンショウウオの体の特徴です。前足は、人間などの哺乳類と違って、指が4本です。爪がありません。後ろ足は、人間と同じく指が5本です。しかし爪はありません。総排出口は排泄物を排出したり、繁殖するために使います。頭は、イボがあり、見えにくいかもしれませんが小さい目があります。胴体は白い液を出していなくても常にヌメヌメしています。尾は泳ぎやすいように根元が太く先が平たくなっています。オオサンショウウオの生活についてです。産卵は9月頃に行われ、孵化は1月になります。この時、孵化したオオサンショウウオは巣穴にとどまります。そして巣穴はヌシのオオサンショウウオが守ります。3月になると錦川は増水し、オオサンショウウオが泳ぎだします。そして、これが幼体の写真です。幼体は5年ぐらいで変態し、この時から肺呼吸です。このオオサンショウウオの幼体は錦川でも4頭の例しかないので、捕獲した時はとても喜びました。次に人口巣穴についての説明です。人口巣穴は周南市の須金という場所にあり、平瀬ダムの上流にあります。これが人口巣穴の計画の写真です。この青い矢印で示しているのが、水の流れです。2009年にこの巣穴を作る計画が始まりました。この赤い矢印で表しているのがオオサンショウウオが上流に上るためのスロープの計画です。2010年にはスロープと人口巣穴が完成しました。上の写真は完成直後のスロープと人口巣穴の写真です。しかし、2011年1月8日にはスロープには段差が出来てしまい、また出入り口がふさがってしまっています。このような人口巣穴やスロープは自然には適さないことが分かりました。
 最後に渋川についてです。渋川は錦川の最上流部にある川です。この写真を見ての通り自然豊かな川です。僕は調査地をこの3つの区間に分けました。その理由は、宇佐川と渋川の標高の比較からです。宇佐川の下流の標高は238メートルで上流になると500メートルとかなりの差があり、流れが急流であることが分かります。渋川は下流の標高が487メートルで上流が標高552メートルで差が少ないので流れが緩やかだと分かります。
 考察に入ります。考察1はオオサンショウウオの病気についてです。こちらの写真がオオサンショウウオの体から出てきた線虫です。こちらが、クレーターのようにへこんだイボで、こちらは、大きく膨らんだイボです。また、オオサンショウウオが病気により死ぬということが分かっていないのでこれから解明したいと思います。考察2は宇佐川の8月9日における水温から見た生存限界です。この黄緑で表したところが、幼生が生息できる限界の水温だと言われています。これを見ると、幼生の限界を超えている所がありますが、成体の限界を超えている所はありません。これは成体がぎりぎり生活できる川だということが分かります。次に渋川と宇佐川の標高の違いをグラフで表したものです。標高が高い所は水温が低いので宇佐川はこのように低くなっています。また、繁殖地は最上流の400メートルよりも上流にありますが、渋川はそれより上にあり、オオサンショウウオが住む川としては渋川の方がいいということが分かります。考察3は漁業への被害と密漁被害です。漁業への被害は延縄とつけ針による被害です。延縄とつけ針はウナギをとるための仕掛けで、このように針で取れればオオサンショウウオは大丈夫ですが、カニ籠漁によるカニ籠に入ったオオサンショウウオは出られずに溺れて死んでしまいます。また、2014年7月23日に見たこともない罠にオオサンショウウオがひっかかっており、この罠はオオサンショウウオの密漁罠ではないかと考えました。考察4はこの写真を見てください。このように背骨が浮き上がってかなり痩せ細っていることが分かります。これを機に、2012年10月19日に文化庁令による緊急保護が行われました。これがオオサンショウウオを保護している施設です。23頭が保護されていて、7月23日には5頭が放流されました。これはその時の新聞記事です。そしてこれが放流の時の写真です。しかし、放流したとしてもまた餓死する恐れがあると思います。考察5は外来種による遺伝子汚染です。僕が高校生の先輩や先生と行った三重県の赤目四十八滝のオオサンショウウオはこのように気持ち悪い体色をしています。また、京都府鴨川のオオサンショウウオもこのように気持ち悪い体色をしています。これらのオオサンショウウオは外来種のチュウゴクオオサンショウウオと日本の純血種のオオサンショウウオとの雑種です。この雑種のことをハイブリッドと言います。この中国産と日本産の親では中国産がオスで日本産がメスであることが多いそうです。また、出来た子は中国産形質の中間型であり、50パーセントがハイブリッドです。またこの子が作った孫が雑種で何パーセントかは分かりませんが、ハイブリッドになります。このハイブリッドのオオサンショウウオが増えていってしまうと、中国型遺伝子を持つ日本型のオオサンショウウオが蔓延してしまい、日本の純血種が絶滅する恐れがあります。これは、京都水族館のハイブリッドのオオサンショウウオの写真です。日本のオオサンショウウオとは違い活発に泳いでいました。チュウゴクオオサンショウウオは初め、岡山県の湯原に食用として持ち込まれましたが、それが逃げ出し近畿地方を中心に広がっています。大分県・山口県・広島県にはまだ純血種が生息しています。また、山口県の宇部市ではチュウゴクオオサンショウウオが2頭飼育されていましたが、行方不明になっており、山口県でも遺伝子汚染を心配しています。これが昔の山口県の分布図です。1番が厚東川2番が椹野川3番が佐波川4番が島田川5番が錦川6番が小瀬川です。これは、僕が考えたオオサンショウウオの再生計画(案)です。まず1番の厚東川はホルマリン標本があるため、遺伝子解析が可能ですが高額です。2番3番4番の川については、残存個体がいる可能性があるので、捕まえて解析することが出来ます。そして、この錦川のオオサンショウウオがもし増えすぎた場合、遺伝子解析を行い、これらの川と遺伝子が同一なら県の条例としてこれらの川に放流することが出来るのではないかと思いました。また、この小瀬川については上流が広島県にあるため僕の案から外しました。
 まとめです。夏の23度を超える川にいるオオサンショウウオは保護したほうがよいと思います。また、標高が高く、夏でも水温が低い水域に本種の保護域(親水公園)を作り保護が必要だと思います。また、一番大切なのは子孫を残せる河川環境を守り続けることが大切です。今後の課題です。生体への寄生虫による影響が分かっていないので、ヒトなどの哺乳類への感染の可能性と毒性、生態系における感染ルートを解明したいと思います。これで発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。 

 

よく研究していますね。
オオサンショウウオについて調べ、そしてオオサンショウウオの環境を守ることで、私たちの自然も守られるように思います。

これからの鎌田君の研究も楽しみです。

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